研究室紹介

金属錯体の構造と電子状態から複合機能へ光を照らす

2022/01/07

秋津 貴城(あきつ たかしろ)
東京理科大学理学部第二部化学科 教授
【経歴】
1995年大阪大学理学部化学科卒業

2000年大阪大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了。
博士(理学)。
大阪大学蛋白質研究所講師(中核的研究機関研究員)

慶應義塾大学理工学部化学科助手・同助教
東京理科大学理学部第二部化学科講師・同准教授
を経て
2016年より同教授(現職)。
この間、スタンフォード大学客員研究員、ストラスブール大学客員教授を兼任。専門分野は、物理無機化学・錯体化学・結晶学。

研究内容

「錯体化学」を追求

金属イオンと有機配位子が結合した金属錯体を扱う分野「錯体化学」が専門である。セントラル・サイエンスといわれる化学の中でも、錯体化学は「化学の十字路」とも呼ばれており、様々な分野との境界領域と密接に関係しながら展開していける点に魅力を感じている。基本的に金属錯体の構造と電子状態の相関を実験的・理論的の両面から研究している。

光で機能をコントロール

 近頃は、金属錯体と他の機能材料、例えば、蛋白質、金属酸化物、色素や高分子を組み合わせた複合機能材料に、様々な光や電磁波を照射して、物性制御や反応などの新たな機能を引き出す研究を展開している。代表的な配位子のひとつ「シッフ塩基」を有する金属錯体と複合材料の、合成・X線結晶構造解析・物性測定・理論計算などを行っている。キラリティーを組み込んだ光学活性シッフ塩基配位子を用いて、分子認識や特有の分光学的性質を調査したり、光応答性を組み込んで光で機能をコントロールする実験を行ったりしている。

学際的プロジェクト組織である「総合研究院」を兼任

 きわめて基礎的・純粋理学的な、分光化学系列(恩師の恩師が提唱)や配位子場理論などの研究から出発して、金属蛋白質の結晶構造、光磁気材料の創製といった、生命科学や材料科学との接点にある応用的研究にも従事して、広く経験を積ませてもらえた。独立して研究室を主宰してからも各要素の研究も継続してきたが、だんだんと融合したテーマ(機能性金属錯体を組み込んだ、人工金属蛋白質の光化学的な研究など)に集約ながらシフトしつつある感じである。さらに学内の学際的プロジェクト組織である「総合研究院」を兼任して、再生可能エネルギー研究部門(電子伝達金属錯体による酸素還元金属酵素の機能向上。バイオ燃料電池への応用を視野に)や、火災科学研究所(化学の専門知識をベースにした、消防材料や産業火災に関する調査や研究)でも活動している。

 

研究室学生の就職先(過去実績)

 勤務地・職種・収入等の条件を重視する学生・院生が例年多く、特定の企業との結びつきはなく、必ずしも専門にこだわらず、学生・院生の意思で自由に就職活動を行っている。
第二部(夜間学部)所属で、社会人の学部(卒研)生や博士院生もいた。
就職先の例として、(国家・地方)公務員、教員(公・私立、中・高等学校、常勤教諭・講師)、化学企業・総合電機・自動車企業・IT企業の研究開発職・営業職・IT関連職種など。

大学教授一覧

-研究室紹介

PICKUP!