構造・機械材料の研究・開発からSDGs達成を後押しします
2022/01/07
名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授
【経歴】
名古屋工業大学教授。材料機能分野所属。名古屋工業大学を卒業した後、東京工業大学で博士号を取得。鹿児島大学および北海道大学の助手、信州大学の助教授を経て現職。専門は材料組織学や材料強度学。
研究内容
材料の性質は、材料の成分と材料組織によって決まり、材料の組織は、材料の成分と製造プロセスによって決まります。材料組成に頼らず、材料組織の制御によっても目的の性質発現が可能であり、限りある資源を有効利用できます。我々は、製造プロセスを検討することにより、材料組織の制御を行い、「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向け、構造・機械材料の研究・開発を行っています。主な研究テーマは以下です。
ヘテロ凝固機構に基づく積層造形の高造形性化・高強度化
金属積層造形、いわゆる3Dプリンティングにおいて、凝固の核となるヘテロ凝固核粒子を添加すれば、組織制御が可能です。我々は、チタン合金、アルミニウムおよびステンレス鋼の積層造形において、独自に開発したヘテロ凝固核粒子を添加し、組織制御を行っています。さらに、この機構を解明するため、浮遊法による無容器溶解実験についても研究を実施しています。
巨大ひずみを用いた組織制御
同じ組成の鋳造用結晶粒微細化剤でも、巨大ひずみ加工を施すことにより、含有している凝固の核、ヘテロ凝固核粒子の数密度が増加します。これにより、鋳造時に添加すれば微細化能が向上します。
トレーニング処理による制振材料および形状記憶合金の機能向上
鉄基制振材料の制振能や形状記憶効果は、相変態と部分転位の運動に支配されています。これら機能発現に有効に働く部分転位を効率よく導入すれば、機能向上が望めます。我々は、合金組成を変えるのでは無く、組織制御により高機能化を目指しています。
遠心力場を利用した傾斜機能材料創製
傾斜機能材料は、組成や組織を位置毎に変えることにより、トレードオフの関係を両立させることが出来ます。遠心鋳造、遠心力場での粒子沈降現象、遠心力場での焼結などにより、傾斜機能材料を創製しています。また、製造した材料によるCFRPの穴開け加工など、実用化に向けた研究にも取り組んでいます。
研究室学生の就職先(過去実績)
IHI、アイシン・エィ・ダブリュ、アイシン精機、愛知製鋼、アドヴィックス、NTN、オークマ、兼房、川崎重工業、JFEスチール、スズキ、大同特殊鋼、トヨタ自動車、豊田自動織機、トヨタ紡織、日本ガイシ、日本軽金属、日本製鉄、日本特殊陶業、日立金属、ブラザー工業、本田技研工業、マキタ、三菱重工業、ヤマザキマザック、ヤマハ発動機、UACJ、リンナイ、神戸大学など
自動車関連や工作機械が多く、素材メーカーや重工業に就職する学生もいます。
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