プロフェッショナルインタビュー ピジョン株式会社 プロジェクト秘話

プロジェクトリーダー志向のある人材には最高の環境【ピジョン株式会社/山下 瑛礼氏】

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ピジョン株式会社 開発本部 企画設計部 グローバルハードグループ 山下 瑛礼 氏

工学院大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 卒業

哺乳びん、ベビーカーなどで赤ちゃんやママやパパの日常を支えるピジョン株式会社。「愛」を経営理念とし、「愛を生むのは愛のみ」を社是としているピジョンを技術的に支えているのは理系人材。同社の最前線で活躍する二人のエンジニアにその仕事のやりがいを聞いてみた。

1.知育玩具に惹かれて

― 学生時代の取り組みについて聞かせてください。

山下氏:
pro_pigeon_yamashita_01「工学院大学でロボット工学を学び、大学院まで進みました。研究テーマはトンボの羽の動きです。ジャンボジェット機のような人間が開発した揚力を利用した機構では昆虫サイズのロボットを飛ばすことができません。そこで昆虫は羽ばたきを利用するわけですが、その中でもトンボは急旋回、急停止など飛翔能力がとても高いのでそこに着目をして研究を行っていました。」

― 就職活動のときはどういったことを考えましたか?

山下氏:
「私は高校時代から子どもの情操教育に関係のある知育玩具に興味を持っていましたので、子どもを育てることと関係のある仕事をしたいと思っていました。」

― 高校生で情操教育に関心があるのは珍しいですね。

山下氏:
「きっかけは小学校時代のテレビゲームでした。中学入学後に知り合った友だちとゲームのことについて話し合って、ものすごく盛り上がったのです。そのことによって、幼少の頃の遊びや体験、思い出は歳を重ねても覚えているものだと実感したのです。そこから知育玩具など遊びを通じて子どもを教育することは、とても面白いのではないかと思うようになったのです。もちろんそうした考えから教員など教育の道に進まれる方もいると思うのですが、私の場合はモノづくりが好きだったので、モノを通じて社会に貢献したいという思いがあったからです。」

― 知育玩具に興味を持たれてどのような就職活動を行ったのでしょうか?

山下氏:
「モノづくりを通じて社会に貢献したいという軸をぶらさずに、知育玩具を作れる会社を中心に就職活動を行っていました。ピジョンを始め、同業種、学習グッズ、玩具メーカーなど色々な会社にエントリーしました。」

― その中でピジョンにはどのような魅力を感じたのでしょうか?

山下氏:
「ピジョンは育児用品ではシェア1位の商品を多く抱えていますが、知育玩具というカテゴリーでは商品展開をしていません。そこで育児用品に魅力を感じながらも、もし将来的に知育玩具を展開することになった場合は自分が一からプロジェクトに関われるのではないかということを考えて志望しました。」

2.頻繁な海外出張

― ピジョン入社後の最初の配属はどこだったのでしょうか?

山下氏:
「2011年に入社したときの最初の配属は生産技術グループでした。ピジョンの生産工場は主に海外にあるのですが、新商品を生産する際、設計・開発を担うグループの要求仕様・設計通りの製品が工場で生産が可能かどうかという検証や技術的サポートを行ったりしました。例えば、プラスチック製品を作る際、設計仕様通りの形状になるように金型を設計したり、海外の工場に赴き金型を用いて生産が可能になるかという量産の立ち上げを行います。」

― ということは、当時は海外出張も多かったのでしょうか?

山下氏:
「はい、そうですね。1年目は生産技術を知る上でも、工場でどのような生産体制が敷かれているのかを勉強する必要があったので、工場見学を兼ねて一度だけタイへ出張に行きました。2年目からは中国、タイなど何度も行く機会がありました。さらにインドでも生産工場の立ち上げにも関わることができました。」

― 工場の立ち上げとはどういったようなことをするのですか?

山下氏:
「私はタイや中国でピジョンの哺乳びんの生産ラインを担当していたので、新たに立ち上がるインド工場の現地の技術者への指導や工場に必要な機械の選定などを行いました。」

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 生産技術グループ時代に技術サポート「はじめてのかんたんおはし」

3.思いがけない文化の壁

― 工場の立ち上げに携わることは珍しいと思うのですが、印象的だったことはありますか?

pro_pigeon_yamashita_02山下氏:
「英語でコミュニケーションを取らなければいけなかったので大変だったということはありますが、それ以上に困ったのはこれまで当たり前だと思っていたピジョン独自の規格や生産手順を、インドのスタッフに伝えてもなかなか理解してもらえなかったということです。というのも、ピジョンの育児用品に対する独自の品質基準(Pigeon Quality Standard)は国内においても競合他社と比べてとても高い水準を保っていますので、他のアジアの国からするとそこまでの規格や手順、品質検査は過剰であり、どうしてそこまでしなければいけないのかをなかなか理解してもらえなかったのです。私は単に技術者として赴いて技術だけを教えればいいのだと思っていたのですが、そうではなく、ピジョンの会社の方針や風土、マインドから教えなければいけないということに気づいたのです。しかもそれを英語で行わなければならなかったので、なお大変でしたが、自分自身にとっては大事な気付きでした。」

― 最終的にはいい信頼関係を醸成することができたのでしょうか?

山下氏:
「はい。現地スタッフがお昼ごはんにカレーを作って一緒に食べようと持ってきてくれたり、LINEを交換して時々連絡をとるようになるまでの信頼関係を築くことができました。」

4.他部署とのすり合わせで進むモノづくり

― その後はどういった仕事をしているのですか?

山下氏:
「2016年に入ってから、現在の所属部署であるグローバルハードグループという製品の設計・開発を担当する部署に異動となりました。これまでは開発設計者の描いた商品を具現化するサポート業務を行っていたのですが、実際の商品を企画し、設計する業務になりました。」

― 現在はどのような業務を行っているのですか?

山下氏:
「製品の開発・設計を行っています。具体的には歯がためやおしゃぶりなどの育児用品のプラスチック製品の企画や製品設計に携わっています。」

― まさにモノづくりの業務ですが、実際に製品を作る業務はいかがでしょうか?

山下氏:
「非常に難しいですね。生産技術グループでは、ある程度製品のコンセプトや仕様、デザインが決まっている段階のものを引継ぎ、それを最終製品にするためにどうするかということを技術的に解決していく仕事でした。現在は、そこに至るまでのマーケティング、生産工場の工場長やピジョンのデザインイメージを司るデザイングループなど、様々な部署と打ち合わせ、すり合わせをしなければいけません。また生産の中心にいる部署なので、自分から関連部署に話を広げていかないとプロジェクトが前に進まないので、主体性をもってどんどん仕事を進めていくことが求められるので大変です。」

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 現在のグローバルハードグループで担当している商品「歯がため Munch teether」

5.黙々と研究だけではダメ

― 学生時代に思い描いていた業務とのギャップはありますか?

山下氏:
「ギャップというわけではないのですが、入社前はいつか知育玩具を作りたいと思っていました。しかし生産技術グループで海外での業務に携わるうちに、将来海外で仕事をしたいという思いが強くなっていきました。学生時代はこういうモノを自分が作りたいから、こういう人間になりたいから、という利己的な考えで就職活動を進めていたのですが、実際に働いてみて強く感じたのは、会社にとってどのような人材になればより会社にとって、社会にとって貢献できるのかということでした。」

― 今後どのようにキャリアを展開していきたいと思いますか?

山下氏:
「今はまだ現在の部署に移ってから日が浅いので、当面は開発設計者として信頼されるプロジェクトリーダーになることを目指しています。自分が担当する商品や、プロジェクトの中心人物として周囲をまとめて良い方向に引っ張っていけるような人材を目指して日々業務を行っています。」

― エンジニアといっても、周囲とのコミュニケーションがかなり大切のようですね。

山下氏:
「はい。私も学生時代はここまでコミュニケーションが大切だとはイメージできていませんでした。大学の教授や講師からもエンジニアとしての教育は受けていて、手に職があれば理工系の学生は通用するのだと思っていたのですが、第一に大学時代の研究がそのまま仕事に直結する就職をすることは稀ですし、実際に社会に出てみるとエンジニアとして一人で黙々とこなす姿勢や能力だけでは評価されないということを痛感しました。それは設計開発に限らず、ピジョンで一番技術者色の強い生産技術グループでも同じでした。確かに社内で関連部署以外と連絡をとることは少ないのですが、海外とのやり取りでは英語でコミュニケーションを取り意思疎通を図る能力が要求されますし、国内でも金型メーカーや成型機メーカーなどの協力会社とのやり取りでもコミュニケーション能力が必要となってきます。」

6.学生時代は遊べ?

― 学生時代の自分に何かアドバイスするとすれば、何を伝えたいですか?

pro_pigeon_yamashita_03山下氏:
「よく言われることですが、もっと遊んでおけばよかったです。遊びというのはサークル活動や人とのコミュニケーションを伴う活動です。理系の大学の講義で教わることだけですとなかなか社会人になってからは対応しきれないことがあるのではないかと思います。そうしたコミュニケーションの中でリーダーシップを取ったり、後輩の指導をしたりすることは素晴らしいことだと思います。」

― 学生時代の取り組みが役立っていることはありますか?

山下氏:
「研究時代のスケジュール管理などは今も役立っています。ただ研究時代はトンボの研究を一年間していればよかったのですが、今は5つのプロジェクトを同時進行で管理しなければいけません。そういう意味でも学生時代研究だけでなく、サークルやバイトなど複数のことをこなしていればよかったかなと思うこともあります。」

7.全社員無料でTOEIC受講

― 今後海外業務に関心があるとのことですが、ピジョンに語学習得に対するサポートはあるのですか?

山下氏:
「はい、あります。基本的に全社員が毎年会社負担でTOEICを受けることになっています。その上でレベルに合わせた研修の案内もありますし、自宅学習に関しても英語に限らず一部援助をしてもらえるプログラムもあります。」

― 英語以外の研修はいかがですか?

山下氏:
「とても充実していると思います。入社後の年次や職歴に合わせた集合研修があり、それらを受講すると自分のゴールが設定しやすくなります。段階的に次のゴール、次のゴールと会社から求められているゴールが明確化してくるので、それをもとに自分個人の将来像のイメージを持ちやすくなります。ピジョンでは、マーケティング・アカウンティング・ロジカルシンキングの3つを基本のビジネススキルとしており、若手は全員必須で研修を受けます。」

8.個性的で我が強いタイプ!?

― ピジョンにはどういった社員が多いですか?

pro_pigeon_yamashita_04山下氏:
「中央研究所に限ったことかも知れませんが、個性的で我が強い人が多いです。そういうと誤解を生みそうですが、頼まれた仕事をボーっとこなすというタイプの人がおらず、『私はこうなりたい』という明確な目標をきちんと持っている人が多く、その目標を達成するためにきちんとアピールできる人が多いですし、自分の刺激にもなります。」

― どのような学生にピジョンに入って欲しいですか?

山下氏:
「理工系、機械系の方にどんどんピジョンに入社して頂きたいですね。機械系の学生の方にとってなかなかピジョンは就職の志望先として考える発想がないかも知れませんが、単にエンジニアとして黙々と作業をしたいというのではなく、みんなでまとまって一つのものを作り上げたいというプロジェクトリーダー志向のある方にはやりがいがありますし、活躍のチャンスがあると思いますのでぜひ入社して欲しいと思います。」

9.プロジェクトリーダー的仕事は理系人材にも魅力的

― 就活中の学生に何かメッセージはありますか?

山下氏:
「プロジェクトリーダー的な仕事は、理工系の人材にとってとても魅力のある仕事です。その魅力をできれば直接お話して伝えたいですね。」

― お話を聞いてみたいという学生はどうすればいいのですか?

山下氏:
「人事にご連絡いただければOB訪問を受け付けています。」

― 最後にメッセージがあれば。

山下氏:
「就活は大変だと思いますが、その先にはやりがいのある仕事が待っているはずですので、あまり気負わず楽な気持ちで就活をがんばってください。」

― ありがとうございました。(了)

 

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